フォークナーとラヴクラフト ヨクナパトーファ・サーガとクトゥルー神話

『フォークナーとラヴクラフト』などというタイトルで一文をしたためるとなると、「頭がおかしいんじゃないか」という声が、特にフォークナー・ファンのほうから聞こえてきそうである。いや、そう言われるのはまだいいほうで、おそらくフォークナーの読者はラヴクラフトなんてなじみがないだろうし、ラヴクラフトの読者のほうはもっとフォークナーなんて知らないだろう。同じ20世紀前半のアメリカの小説家同士とはいえ、かたや…

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少年よ大志を抱くな 小志を抱け

 BOYS、BE AMBITIOUS! 少年よ、大志を抱け! 他にも、夢はできるだけ大きく持とう! などいろいろなヴァリエーションがありますが、私は、夢ってものは度外れに大きく持ったら、今の自分との差が大きくなるだけで挫折する可能性のほうが大きいと思います。いや、挫折するならまだいい。それは挑戦したということだから。よくないのは夢がデカすぎて、何もしない、できない、というままで終わってしまうこと…

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なぜ大和型3番艦の名は信濃なのか?

戦艦大和といえば誰もが知る日本が建造した世界最大の戦艦だが、この大和型戦艦の3番艦は空母に設計変更されている。名前は信濃。空母としても当時世界最大の艦となった。しかしなぜ3番艦の名前が信濃なのだろうか? 旧海軍の戦艦は旧国名をつけられる。これは戦艦から空母に設計変更になった艦の場合も同じであり、だから旧国名なのは問題ない。なぜ大和、武蔵ときて次が信濃かということなのだ。 同型艦の場合…

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『第九:歓喜の歌(よろこびの歌)』を日本語で歌ってみよう!

歌える和訳歌詞シリーズ第三弾! シラーの「歓喜に寄す」によるベートーヴェンの第九、すなわち歓喜の歌です。一応、学生時代の第2外国語はドイツ語でしたが、それが役に立ってるかどうか。 この歌の訳には難儀なことがあります。それは部分的にリフレインされるフレーズが多いこと。つまり原語の歌では1行のフレーズをリフレインしたりするのですが、そうなると、日本語の都合上、次の行とあわせて2行で意味が通る訳…

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個性の出し方、スタイルの作り方

最近つくづく思うのは、当たり前のことかもしれませんが、「今の自分以上の作品は描けない」ということです。エンターテインメントの作品なら別かもしれませんが。 「今の自分」というのは、今の自分の「状況、環境、感情、こだわり、才能、体力などなど」すべてを含んだものです。 私は、絵を実際に描くまでは、もっとドロドロした人間の根源的情念みたいなすさまじいものを描きたいというか、描くべきだというか…

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日本にはなぜ哲学者がいないか

日本には哲学学者はいるが、哲学者そのものはいないといわれる。しかし私は日本にも、哲学的思考の持ち主はいると思っている。ただ、それを受け入れるベースが日本にはないのだ。 哲学とはものごとの根源を考え抜くものだ。根源を考え抜くのだからこれをやるには相当の時間とエネルギーが必要で、本格的にやるなら、やはり職業としてというか、それ専門にしなければできないことなのだろう。そして根源の説明というのは人…

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『ホテル・カリフォルニア』を日本語で歌ってみよう!(Hotel California 歌詞和訳)

今日は音楽の話でもクラシック以外、イーグルスの名曲『ホテル・カリフォルニア』の歌詞を日本語訳してみました。しかもちゃんと歌えるように! この曲の歌える和訳を完成させることは悲願でした。以前、ポオの『鴉』の訳もここで披露させていただきましたが、私は翻訳作業が結構好きです。実は学校時代、語学は全然勉強しなかったし(他もしませんでしたが)、成績も悪かったんですが。しかしよく考えたら、『鴉』と『ホ…

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日本海軍航空母艦 艦橋位置変遷の真相

私は航空母艦が好きで何度か描いているが、今日は日本の航空母艦のあることについてちょっと気が付いたことがあるので、マニアックな話にはなるが書き留めておきます。それは、日本の航空母艦のころころ変わった艦橋の位置の真相について。 アメリカの航空母艦などは最初から最後までずっと艦橋は飛行甲板の右舷中央である。そのうしろに煙突がある。変更点があったのは最初は艦橋と煙突は別々に立てられていたが、じきに…

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はるかなる東京

新作です。タイトルは『東京駅』にしようか、『武蔵野』にしようか迷いましたが、「東京」駅って絵にちゃんと描いてあるんだから『武蔵野』にしました。 武蔵野 油彩 M8号 東京には4年半いました。ずっと建築の現場監督やってました。なんかほとんど休みがなかった印象です。建築現場というのは土曜、祭日の休みないですからね。工期が遅れそうなクリティカルな作業の時は日曜もありません。盆、正月、G…

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レイテ沖海戦 栗田艦隊の反転を擁護する

栗田艦隊のレイテ湾直前の反転といえば、太平洋戦争における、もっとも大きな謎のひとつとされているが、私は謎と思ってない。フィリピンのレイテ島に上陸したアメリカ軍を叩くために出撃した栗田艦隊は、レイテ湾の東入り口に達したとき、北方に敵機動部隊がいるという電報を受け取ったためレイテ突入をやめ、その敵機動部隊を追って北上してしまった。だが、そこに敵はいなかったため、栗田艦隊はそのまま元来た道をたどり、基…

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戦略的に絵を描いてもしょうがない

新作です。完成したのはもう6か月前なんですけど。 地平線 F20号油彩 相変わらず写真撮って、ブログにアップするのが面倒くさい。横尾忠則さんが『アホになる修行』という近著で「現代の美術界でやっていくには戦略的にやらなくてはいけないのかもしれない。しかし戦略的に生きないほうが楽に生きられるのではないか」ということを言っていましたが、まさにそれ。正直「戦略的」にやるのがもう最近イヤに…

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UFOとは何だったか? その時代的正体

『UFOとは何だったか?』と過去形なのは、もうUFOの時代は終わったと思うからだ。そういうわけだから、「何だったか」と言っても、それが宇宙人の乗り物だったのか、自然現象だったのかとそういうレベルの話をしたいのではない。世界的なあの「UFOブーム」とは人間にとって何だったのかという本質的な話を考えたいのである。 実は私自身、子供時代、大のUFOファンだった。しかし、今はもう信じていない。周囲…

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古事記偽書説と本居宣長の純粋日本幻想

この前、『令和』という文字の並びがあるということで古事記についてふれましたが、古事記について私は以前から、ひとつの関心を持っている。それは古事記が平安時代に捏造された偽書だという説があることだ。骨董も然りだが日本史上、偽書というのは結構多いのである。 古事記偽書説はアングラのレベルではない。ゆえに「古事記を偽書と言うなどもってのほか!」という圧力も強いようである。それがまた偽書の疑いを強く…

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『令和』という言葉が万葉集ではなく古事記にある 令和平其麻都漏波奴人等

このことはネット検索してもヒットせず、どうも誰も気がついていないようなので、私が書かせていただく。新元号『令和』は万葉集が出典というのが国の説明であるが、本当は、古事記ではないかということだ。 国が説明している万葉集の部分をまず下に示す。 初春令月、氣淑風和 (訳)初春の令い月にして、空気は美しく風は和やかで わたしゃまた『令和』って言葉自体があるのかと思ったので、この飛び石…

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飛行機の時代になぜ戦艦大和を作ったか

なぜ戦艦大和を作ったのだろうかというのはよく見かける疑問である。 世界最大の戦艦、大和が完成したのは対米戦争開戦とほぼ同時だが、ふたをあけてみれば戦争は飛行機の時代になっていたので、大和は何もできないまま飛行機の攻撃によって沈められた――とそう言われているが、確かに、飛行機の時代(空母の時代)になるってことを、大和を作り始めたときに分からなかったのかと思ってしまう。実際、大和型3番艦の信濃…

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ソナタ形式とは何か? クラシック音楽はこうして誕生した

クラシック音楽でよく聴く『ソナタ形式』という言葉。しかし『ソナタ形式とは何か』ときたら、なかなか難しい。wikipedeiaなどでも、わかりやすく説明されているとはいえず、主題提示部やら展開部やら、主調の属調の第二主題やら、お経めいたことばかりが書き連ねてある。 それでも私は、ソナタ形式にクラシック音楽がクラシック音楽であるところの神髄があると考えている。『ソナタ形式は何か』と問うことは、…

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絵画にタイトルなんか要らん

新作です。またタイトルに困る。しかし、私はどうも自分で思うに 絵画にタイトルなんかいらん と考えているところがあるようです。音楽なんかもいわゆる純粋芸術の音楽なんて、タイトルないですよ。『交響曲第4番変ロ長調』これだけ。『英雄』だの『運命』だのはあとから誰かがつけたものがほとんどで、実際ニックネームという扱いです。そのニックネームも分類やら、話題に上げやすいようにと『便宜上』のために…

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日本とは何か?~日本因数分解論~日本は実はふたつある

 日本はまず因数分解して捉えられなくてはならない ――または日本因数分解論 〈日本〉とは、とどのつまり何なのだろう? 実際、〈日本〉なるものが特別な探求の対象になっていることは、本屋や図書館に「日本人論」という妙なコーナーがあることからも明らかである。しかしそこに並んでいる本の中にも「日本とは何か」という問いに明確な定義的答を出している本はない。たいていの「日本人論」は「日本人はこう行動し…

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真珠郎はどこにいる?~横溝正史『真珠郎』のモデルとなったモボ

私は特に横溝正史ファンなわけではありませんが、『横溝正史読本』という横溝のインタビュー本は大好きで、今でも読み返します。その中で今回読み直して気づいたことがあるので書いておきます。 今回読んで目にとまったのは、横溝さんがやたら青年期の探偵作家仲間である中村進治郎なる人物を「いい男だった」「美少年だった」と連発していることでした。そういえば横溝の作品には美少年が出てくることが多い。代表作の『…

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『邪馬台国』と『やまと』が似てる理由

『やまと』は、日本国の古称だと思っている人が多いが、実は古代人がこの列島の国を『やまと』と呼んでいた証拠は実は何もない。 それは、江戸時代後期の有名な国学者本居宣長が、漢心(からごころ)に染まる前のこの国独自の純粋なものを追及しているときに、『日本』という漢字名(つまりは外国語名)を嫌い、なんとか見つけてきた言葉なのだ。 確かに日本書紀には「日本これをばやまとという、以下これにならえ…

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