フェルメールの描き方

私なりのフェルメールの模写の仕方をアップしようかと思ったのですが、最初のキャンバスの下地作りだけで、バカみたいに長くなりそうなことが分かったので、模写の技術談話はやめて、ちょっと前から言いたかったことを言わせていただきます。それは、

フェルメールは本当に、まずグリザイユ(モノクロ絵)で描いたあと、色を載せる(グラッシ)という順序で描いたのか? ということ。つまり、フェルメールは、本当に、「昔のカラー写真がない時代にモノクロ写真の上から着色するような描き方」をしたのかということです。

私見では、このグリザイユの上に着色する油絵の技法というのは(以下、「グリザイユ技法」と呼びます)、「模写」するときの描き方だと思います。この描き方のメリットは、「形」と「色」を分離して作業ができるということ。だからどっちかというと「修行用」の描き方です。ですからフェルメールを模写するにあたって、われわれがグリザイユ技法で描く事は何も問題ないのですが、(というか自由ですが)、それをフェルメールの描き方だと主張するのは、ちょっと違うのではないか。

また、もうひとつ誤解が蔓延しているようなのですが、グリザイユ技法でも、ただ、モノクロ絵の上に、色のフィルターをかけるというのではありません。あくまで下のモノクロ絵は、色を使って描くためのガイドラインであって、透明な色をその上に乗せても同じ色にも、同じマチエールにもなりません。もちろんガイドラインがあるので、上に乗せた絵の具は薄くてすみますが、それでも透明な色で下のモノクロ絵を透かすというわけではない。

そもそも目の前にちゃんと描く対象があるなら、最初からその色で描くほうが手っ取り早いに決まってます。確かに全体を見ながら描く必要があるので、最初は色を薄くして段々濃くしていくというのがセオリーですが、模写のように描く最終形が目の前にあるなら、いきなりその色を出しても全然問題ないのではないでしょうか。

フェルメールが本当にどのような順序で描いたかはよく分かっていません。一説ではカメラオブスキュラという投影装置を使って描いたとも言われてますが、それはともかく、描く手順がどうだかは分かっていません。ウィーンにある代表作のひとつ『絵画芸術』(別名:「絵画のアレゴリー」「アトリエ」など)を見ると、ライトグレーのキャンバスに、白い線を起こし、いきなり対象と同じ色で描いてますが、これなどは、フェルメールの実際の描きかたとして受け取っていいのか、それともあくまでこの『絵画芸術』という絵の効果のために、このように分かりやすい「描いている絵」を入れたのか判断つきません。

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上図は私がフェルメールの『水差しを持つ女』を模写したときの制作なかばの写真です。画集の解説によりますと、この絵の下地は黄土色(まずイエローオーカーで間違いない)とあって、細部を見てもどうもそのようなので、私はイエローオーカーとファウンデーションホワイトを混ぜたものを下地塗りに使いました。それが、女性の服の黄色いところ、右側の静物で黄色く見えているところです。そして、茶色い下地が透けて見えてるところもあるので、第二の下塗りとして茶色(バーント・シエナ)を薄く塗ったところもあります。

この絵だけ分析してみても、フェルメールがグリザイユ技法で描いたとは思えません。もちろんどの絵もいつも同じ順序で描いたわけではないでしょうけれど。

ともあれフェルメールを模写するに当たって、一番気をつけないといけないのは、描く順序などではなく、あのピンボケ写真のような輪郭のぼかしをいかに巧妙にできるかだと思います。

また、有名な、フェルメールの、周囲でぼけている小さな点々ですが、これはベネチアテレピンを使ったと思われているようですが、ベネチアテレピンの流動性でもあそこまで広がらないと思います。私はあれは、ベネチアテレピンでなく、ただの揮発性のテレビン油でやってると思います。テレビン油をたっぷり含ませるか、あるいはテレビン油で先に画面を濡らしているか。このやり方はこのやり方で、ヘタすると、広がりすぎてボケすぎてしまうので、結構さじ加減が難しいですが。

下が完成品です。

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『第三都市 幻想画家:福本晋一ウェブサイト』
http://www7b.biglobe.ne.jp/~fukusin/

↓私のフェルメール模写作品のページ
http://www7b.biglobe.ne.jp/~fukusin/copy%20gellery.html





























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