『ホテル・カリフォルニア』を日本語で歌ってみよう!(Hotel California 歌詞和訳)

今日は音楽の話でもクラシック以外、イーグルスの名曲『ホテル・カリフォルニア』の歌詞を日本語訳してみました。しかもちゃんと歌えるように!

この曲の歌える和訳を完成させることは悲願でした。以前、ポオの『鴉』の訳もここで披露させていただきましたが、私は翻訳作業が結構好きです。実は学校時代、語学は全然勉強しなかったし(他もしませんでしたが)、成績も悪かったんですが。しかしよく考えたら、『鴉』と『ホテル・カリフォルニア』は内容が似てますね! 特にオチ。

『ホテル・カリフォルニア』の訳はネットでもたくさん出てますが、歌えるように訳したものはほとんどありません。youtubeで歌っている方がいましたが、何より難しいのは曲に合わせて訳さなければいけないこと。大体直訳すると長くなっちゃうんですよね。でもだからといって、英語のほうが効率がいいかったら、私はそんなことない、というか、ありえないと思ってます。同じ人間の言葉ですから。だから必ず曲にあわせて訳せると私は信じています。

方法としては、まずオリジナルの詩の真意をつかむ。この段階では直訳で長い文章になっちゃってもいい。しかしそれよく見て熟考したら短縮された表現の日本語が見つかってきます。昔ミステリーで「悔しさのあまり両足で床を何度も太鼓のように鳴らした」って訳があったんですが、これ「地団駄を踏んだ」でいいわけでしょう? 「My big brother」を「わたしの上の男兄弟」なんて訳す必要はなく「兄」で足ります。あとある人が言ってた「英語の否定形を和訳では肯定に、肯定形は否定にすると日本語らしくなる」というのとか(例:That's allは、これがすべてでなく、これしかない)、同様に能動態と受動態を入れ替えるとか、ニュアンス的に別の語彙に差し替えても問題ないところは差し替えるとか、また英語の詩は脚韻をそろえるため結構装飾的な言葉も入っているのでそういうのは捨て、逆に日本語の詩の五七調を前に出して補うとか、そういうことを考慮に入れて訳してみました。ただご存じのように、歌の詩というのは文字で読むと変に思えることも多く、実際に歌ってみて効果がわかることが多い。ぜひ曲をご存じの方は声に出して歌ってみてください。それを前提に訳してみたつもりですので。わけのわからん歌をうたうなってご家族に怒られたりしても責任は持ちませんが。またご存じの方には「え?」というところを感じる方もいるかもしれませんので、最後に訳にあたっての自己説明をつけてます。

ホテル・カリフォルニア
Hotel California
by イーグルス

訳:福本晋一

昏い荒野のハイウェイ
風は冷たく
立ちこめるコリタス
匂いは暖かで
遠くにまたたく
あかりが見えた
目と頭くもる
泊まらなきゃな

戸口への道に
女がいた
鐘が鳴りわたる
天国地獄どっちか
ろうそく灯して
みちびかれてく
その廊下で誰かが
こういったさ

ようこそ ここはホテル・カリフォルニア
素敵な場所 楽しみましょう
すべてはそろうホテル・カリフォルニア
一年中 いつの日でも

謎めく魅力たたえた
女は多くの
かわいい男かこっている
友だちよと
中庭じゃ踊り
狂ってる
忘れないため
忘れたいため

そこでチーフを呼んで
酒をください(というと)
69年を最後に
なくしましたと
そしてまたあの声が遠くから
真夜中に起こすよう
こういうのさ

ようこそ ここはホテル・カリフォルニア
素敵な場所 楽しみましょう
心は躍るホテル・カリフォルニア
ぜひ上手に 理由つけて

天井に鏡
シャンペンに氷
みな自分から嵌まるのと
女は言う
宴の広間に
みなつどって
刃物突きたてるが
獲物は生きてたッ!

最後に覚えて
いることは
出口求めてドアへ
走っていた
「おちつきなさい」と
暗闇でボーイがいう
「チェックアウトはお好きに
でも出れはしないですよ」


解説

冒頭のコリタスは麻薬がとれるサボテン系の花らしく、この歌自体、麻薬による幻覚をうたったものという説もありますので、コリタスはそのまま訳しました。風の「冷たさ」とコリタスの匂いの「暖かさ」という対比は確かにふしぎな感じです。「目と頭くもる 泊まらなきゃな」は、なかなかどんぴしゃな訳だと気に入ってます。

「There she stood in the doorway」は、たまに「彼女」との訳を見ますが、素性の分からない人を呼ぶのにいきなり代名詞の「he」や「she」を使うのは非常に失礼で、「あいつ」とか「あの女」という意味になるそうです。ですからこれは「彼女」じゃなくて「女」でしょう。

サビの「Such a lovely place, Such a lovely face」は「face」がホテルの外観を言っているのか、ここにいるすべての人間の面々を言っているのか、しかし単数形になってるので、客である主人公の容姿にお世辞を言っているのかともとれますが、どちらのニュアンスもとって、かつ脚韻ふんだ「素敵な場所、楽しみましょう」と訳しました。ここの部分はもう一度出てきますが、二度目のときにイーグルスの原曲では「face」のところを妙に色っぽく歌っているので、悪くないんじゃないかと思ってます。

「Plenty of room at the Hotel california」は直訳すれば「ホテルカリフォルニアにはたくさんのお部屋が」なので「お部屋がそろうホテルカリフォルニア」も考えましたが、さすがに「お部屋」は急に可愛すぎます。充実したホテル設備を誇っているということで「すべてはそろうホテルカリフォルニア」としました。

最大の難関だったのは次の「Her mind is Tiffany-twisted, She got the Mercedes Bends」 直訳すれば「女の心はひねられたティファニー、かメルセデスベンツを持っている」ですがベンツもつづりは「 Bends」で「曲がったもの(多分、体の曲線美のこと)」と洒落みたいに変えてますので、全体からすれば、「彼女は心にしろ体にしろ、ティファニーやメルセデスベンツのような高級で洒落たものを持っているのだがそれらはひねくれて曲がってもいる」という意味でつまり魔性の女と解釈し、「惑わす魅力たたえた」と訳しました。これはもっといい訳があるかも。一方で「中庭じゃ踊り狂ってる 忘れないため 忘れたいため」もどんぴしゃかなって思ってます勝手に。

そしてこの歌、最大の議論点「We haven't had that spirit here since nineteen sixty nine」は直訳では「私どもでは、1969年以来、酒は置いておりません」ですが、とりあえず何の年なのか論議の的である「69年」はそのまま訳すとして、「spirit」が酒でもあると同時に「精神」「魂」という二重の意味もあるのを日本語でどうしようか悩みました。やはりこれは1969年に何かの精神を失った、捨てたということでしょうから、「酒は置いてない」ではなく、目的語の「酒を」はなくして、ただ「なくした」として、何かを「なくした」ととれるようにしてみました。

2回目のサビの「What a nice surprise, Bring your alibis」も意味自体がちょっと分かりかねます。「この素敵なおどろきはあなたにここに来る口実をもたらす」なのか「口実つくってここに来ることはなんて素敵な驚きをもたらすことでしょう」なのか。いちおう後者の意味だとして、「nice surprise」は「見事」からさらに「上手」として歌いやすく「ぜひ上手に 理由つけて」としました。「刃物」と「獲物」で頭韻っぽくできた「刃物突きたてるけど 獲物は生きてたッ!」も気に入ってます。

全体的にひとつ思ったのは、原曲はかなり字余り的に歌ってるんですよね。それゆえにかなり同じはずのメロディーも変わってきて、それでかえって豊かになってるのかなと。それに比べて歌いやすくしすぎたかもしれません。

『第三都市 幻想画家:福本晋一ウェブサイト』
http://www7b.biglobe.ne.jp/~fukusin/




















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