芥川龍之介『歯車』における『レエン・コオト』の正体

ちょっと芥川龍之介の遺作小説『歯車』を読んでて気がついたことがあるので書き記しておきます。多分、今までどの文学者も指摘してないことだと思うのですが、どうか。 この小説は好きで何度も読んでいる。芥川を自殺に追い込んだいろいろな妄想が描かれている傷ましい短編なのだが、私は、不謹慎なことに、なかば怪奇小説として読んでいる。しかし不謹慎とばかりは言えないかもしれない。なぜなら芥川自身、基本的に事実…

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フェルメール『牛乳を注ぐ女』を摸写しました。

『真珠の耳飾りの少女』と並んでフェルメールの作品のなかでは有名&人気である『牛乳を注ぐ女』を久しぶりに摸写しました。フェルメールはF8号サイズ(45.5×38cm)近似の絵をたくさん描いていて、私もそのほとんど(多分全部)を摸写したことがありますが、この『牛乳』が一番時間がかかります。小道具が多いというのもあるのですが、筆のストローク数が多いからです。フェルメール一流の点描の数も多いですが、のみ…

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『モナリザ』を模写しました!

泣く子も黙る絵画史上の守護女神、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』を模写しました。原寸は77×53cmですからM25サイズ(80.2×53cm)にしようか、M20サイズ(72.7×50cm)にしようか迷ったんですが、比率を気にする私は、結局比率がほぼイコールな後者にしました。また原寸より大きく描くか、小さく描くかとなると、原画に敬意を表して小さいほうを選ぶことにしてますが。 とにかく『…

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エドガー・アラン・ポー 「カラス」(大鴉) を訳してみました

エドガー・ポーの代表作の詩 「カラス(The Raven)」を訳してみました。Ravenはcrowのカラスではなくワタリガラスのことらしいですが、かえって分かりにくくなるのでやはり「カラス」にしました。ポーはこの詩を自己解説した「構成の原理」というエッセイで、カラスが口にする「Nevermore」という言葉のリフレインを効果的に使ったのだと主張していますが、これが従来は「もはやない」とか「またと…

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フェルメール『デルフトの眺望』を模写しました!

念願のフェルメールの大作『デルフトの眺望』を模写しました。もちろんほぼ原寸大で。オリジナル含め、さすがに今まで描いた油絵の中で一番時間かかりました。以下、掲載写真は、今回の模写のものです。 F50号(91×116センチ)。現物はもう6センチ高さがあるんですが、幸いなことに、この絵は上部三分の二が空。いつもは原画との比率の違いをすごく気にしてどう処理しようかと煩悶するんですが、今回は…

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私の絵画の方法~意味のあるデペイズマン

今年はマグリット展が開催されている。関西では京都でやるみたいだが、行くか微妙。マグリット大好きの私は、マグリットを何度も見ているのもあるが、マグリットほど原画と複製との差がない画家はいないからだ。いや、むしろ複製のほうがいい。 実物より複製のほうがいいというのは、シュールレアリズム系統の絵画にはよくあることだ。ダリなどは、自分で、実物より複製のほうが美しいと言っている。 これはシュー…

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公募展に出すときに困る絵の大きさ

今年になって『こうべ市展』と『ポテトチップス アートムーブ・コンテスト』でそれぞれ油絵を入選させていただきました。(『こうべ市展』入選作は下図)『こうべ市展』はもう終わりましたが、『ポテトチップス アートムーブ・コンテスト』は5月19~24日に大阪市西区の府立江之子島文化芸術センターで開催されます。しかし入選することはもちろんうれしいのですが、どうもちょっと失敗したかなと思うことがあります。それ…

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マグリット 一瞬考えてしまう絵画という弱点

ルネ・マグリットは好きな画家だが、「大好き」かとなると保留したくなるところがある。 マグリットの最高傑作といえば、「光の帝国」で定まった感があるけど、私が一番好きなのは「ピレネーの城」(下図)だ。 確かにマグリットのデペイズマンがもっとも成功しているのは「光の帝国」(下図)かもれしない。しかし私には,「光の帝国」は上品すぎておとなしすぎる気がするのと、もうひとつ手放しに賞賛で…

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ベラスケスの電撃タッチは多忙のために生まれた

ベラスケスの絵には何か親近感を感じる。あのパパパッという流れ跳ねるような筆さばきが私の体質に何かあっている気がするのである。 私は先日のブログでカラヴァッジョが気短な画家ゆえに速描きだったと書いたが、ベラスケスも相当の速描きだったようだ。それはあのスピーディーなタッチを見れば誰しも納得できることであろう。(下図は私の模写したベラスケス作「マルガリータ王女」です)       (こ…

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第10回西脇市サムホール大賞で賞をいただきました。

このたび、第10回西脇市サムホール大賞で、準大賞をいただかせていただきました。 作品名は『廃線』 著作権、出版権のことがあると思いますので、ここには画像を載せるのは見合わせていただきます。下記の大賞展のホームページでごらんいただければ幸いです。 http://www.nishiwaki-cs.or.jp/okanoyama-museum/thumbhole/000453.html …

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フェルメールの描き方

私なりのフェルメールの模写の仕方をアップしようかと思ったのですが、最初のキャンバスの下地作りだけで、バカみたいに長くなりそうなことが分かったので、模写の技術談話はやめて、ちょっと前から言いたかったことを言わせていただきます。それは、 フェルメールは本当に、まずグリザイユ(モノクロ絵)で描いたあと、色を載せる(グラッシ)という順序で描いたのか? ということ。つまり、フェルメールは、本当に、「…

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白井晟一論~再統合を暗示するアクティヴな廃墟

白井晟一論1.再統合を暗示するアクティヴな廃墟 静岡にある白井晟一の最晩年の傑作「芹澤銈介美術館」~別名「石水館」(下図)をして、ある方がブログで『国籍不明の要塞』という表現をしていた。白井の晩年の石の建築に対しまさに言い得て妙である。 白井晩年の荒肌の石で築かれた建築(実際の構造体は鉄筋コンクリートで、石は化粧として張っているのだが)は、フランスのカルカッソンヌのような西洋…

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カルロ・スカルパ論~洋の東西を表すブリオン家墓地

1、建築物設計を超える建築家 私が好きな建築家は、フランク・ロイド・ライト、白井晟一、そしてイタリアのカルロ・スカルパの三人であるが、この三人には共通するところがある。三人とも建築史的には主流とは言えない。特にスカルパは、建築家と呼ぶことさえやや躊躇したくなるところがある。スカルパの作品には建築物らしい建築物がない。建築としての全体像を把握できる作品がきわめて少ない。いや、ないと言ってもい…

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有機的建築とは何か? その機械美との相似

私はフランク・ロイド・ライトの建築が好きだ。なぜかといえば美しい、もっと平たく言えば「かっこいい」からだ。「かっこいい」――なんという子供じみた言葉であろうか。であるが実感なのだから仕方がない。しかしライトの建築は、軍艦、飛行機、あるいは未来的宇宙ステーションの想像図といった男児が喜ぶような「かっこいい」ものを連想させるところがある。案外と『かっこいい』という表現は、ライト自身が自分の建築に名づ…

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岡本太郎 「傷ましき腕」について

1.傷口としての作品 もし私は世界で一点の絵画を選べといわれたら岡本太郎の「傷ましき腕」をあげる。実は岡本さんの絵は「痛ましき腕」を除くとそんなに好きではないのだが。 事実、この「傷ましき腕」一点だけが彼の絵画作品のなかでは異質なのだ。このような写実を基底にした作品はこれだけなのである。しかし生前、岡本さんはアンケートで、自分の絵の一番手にこれをあげているし、事実これが代表作だと思う…

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