芥川龍之介『歯車』における『レエン・コオト』の正体

ちょっと芥川龍之介の遺作小説『歯車』を読んでて気がついたことがあるので書き記しておきます。多分、今までどの文学者も指摘してないことだと思うのですが、どうか。 この小説は好きで何度も読んでいる。芥川を自殺に追い込んだいろいろな妄想が描かれている傷ましい短編なのだが、私は、不謹慎なことに、なかば怪奇小説として読んでいる。しかし不謹慎とばかりは言えないかもしれない。なぜなら芥川自身、基本的に事実…

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マグリット 一瞬考えてしまう絵画という弱点

ルネ・マグリットは好きな画家だが、「大好き」かとなると保留したくなるところがある。 マグリットの最高傑作といえば、「光の帝国」で定まった感があるけど、私が一番好きなのは「ピレネーの城」(下図)だ。 確かにマグリットのデペイズマンがもっとも成功しているのは「光の帝国」(下図)かもれしない。しかし私には,「光の帝国」は上品すぎておとなしすぎる気がするのと、もうひとつ手放しに賞賛で…

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岡本太郎 「傷ましき腕」について

1.傷口としての作品 もし私は世界で一点の絵画を選べといわれたら岡本太郎の「傷ましき腕」をあげる。実は岡本さんの絵は「痛ましき腕」を除くとそんなに好きではないのだが。 事実、この「傷ましき腕」一点だけが彼の絵画作品のなかでは異質なのだ。このような写実を基底にした作品はこれだけなのである。しかし生前、岡本さんはアンケートで、自分の絵の一番手にこれをあげているし、事実これが代表作だと思う…

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